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企業に限らず役所・学校などの公共機関でも、各種の事務用品・紙・OAサプライ品といった消耗品が大量に必要となります。しかし、その購入に際して発生する起案・選定・発注・受領・支払い・購入履歴の検証といった業務が、本来の担当業務に負荷を与えかねません。この問題に取り組み、インターネット調達という方法で解決を図ったのが、栃木県・鹿沼市役所様です。平成17年11月に行われた入札には、ベンダー3社が参加し、最適なソリューションとして採用されたのが、NECプレオマート社の「プロキュアメントASPサービス」でした。
その後、平成18年4月には、約2500アイテムに及ぶ消耗品の電子調達を実現。調達プロセスを効率化・標準化し、トータルコストを削減しました。なお、このシステムは、国内自治体で初めて複数の市内納入業者も参加する仕組みとなりました。
システム導入に当たって、ワーキンググループを編成した鹿沼市役所の総務部総務課や企画部情報管理課などの方々に、詳しいお話を伺いました。
―最初に、システム導入以前の消耗品調達はどのように行われていたのかをお聞かせください。
渡邉 教生氏(総務課管財係主任主事):いわゆる紙ベースで起案して発注する方式で、当初は他の多くの自治体のように“用度室”(呼び名は各市違うと思いますが・・)というセクションが担当し、集中的に一括発注し、納入後に送られてくる業者からの請求書を出納室で処理していました。しかしこのやり方では手間がかかるし、現場の実情が見えにくいために“ムダが発生しやすい”という難点があります。そこで、各部ごとに発注・購入する方式にしたのですが、こうなると今度は、「いつ、どこで、誰が、何を購入したのか」を把握しにくくなり、これを紙ベースで管理することの限界を感じていました。それに予算執行のさらなる適正化、環境にやさしいエコ商品を選ぶグリーン調達化という時代の流れも考えると、これはシステム化による消耗品購入の一元管理しかないと考えたのです。
―システム化の計画をワーキンググループで検討したそうですが、その狙いは?
渡邉氏:主な関連部署である総務課と出納室、情報管理課、更に運用後の予算配分を担当する財政課の担当者によるワーキンググループを平成17年の4月に発足させ、月1回程度の会合を持つことにしました。実務に当たっている関連部署がプロジェクトを組むことで、どのようなシステムであるべきかが明確になってきます。その会合で整理されたシステム化の狙いは、(1)購入実績がリアルタイムで見えること、(2)起案から清算までの購入業務が効率化されること、(3)購入に伴う業務コストと購入価格が低減できること、(4)グリーン購入が促進されること、(5)業者側も工数削減できて地場の事業者が参加できること、の5つです。これで従来多くの役所で採用されてきた“用度室”型文化を終わらせ、各部署から直接注文できて、管理も一元化できるようにしたかったのです。
―議論された中で、とくに懸念されたことは何ですか?
麦倉 久典氏(総務課管財係係長):民間企業が電子調達システムの導入で効果を上げていることは理解していましたが、はたして市役所でもできるかという心配はありました。というのも学校や病院などの出先機関を抱えており、それぞれの会計方式がありましたからこの一元化が大変です。それとネットワークインフラもまちまちで、購入品の電子カタログ画像を参照するのに、ISDN回線では時間がかかるというような問題もありました。ですからこれらの整備計画をにらみながら導入していかなくてはならなかったのです。他にも、地場の事業者が、果たしてどこまでこういうシステム化に対応してくれるかも見えにくいことでした。
―困難なこと、未知の課題はあってもシステム化を推進するという決意は変わらなかったのですね?
吉高神 勇氏(総務部次長):そうです。鹿沼市としては、行政改革を進め、事務改善を図るためにもシステム化を推進してきました。消耗品購入においても量でもコストでもムダが生まれたり、購入業務に多くの人手がかかったりするという事態がある以上、何らかの一元化システムで解消しなくてはならなかったのです。
―では、システムの選定・導入にいたる経緯をおきかせください。
高野 勤氏(情報管理係係長):鹿沼市では財務会計システムを自前で開発・運用してきたのを始め、それぞれの業務でもシステム化を推進してきました。しかしその後、システムのトレンドがオープン化に向かい、インターフェースもWeb画面で誰でも使えるようにして、“属人化”しないものが望まれていることがはっきりしてきました。何もかも業務リソースを自前で用意する時代ではありません。総務課の導入事例でいえば、公共施設や各種イベントの案内・予約・公用車の一元管理による予約システムや県内初のIP電話網の整備などがそれに当たります。今回のシステムでもこうしたトレンドを踏まえて、パッケージ導入ないしASP導入で行くべきだというのは、ワーキンググループのメンバーの共通認識でした。システムの費用対効果を高めるとともに、使ってくれる現場の要望を重視するのは当然です。
渡邉氏:導入に際し、まず500品目の商品アイテムをデータベースに置いてもらい、実際の業務に即して動かしてもらったのですが、商品の納入事業者選定に関して、運用面での課題があることに気付きました。全ての商品をある特定の事業者が落札したとしても、当然、得意な商品、不得意な商品があるはずです。それであれば、筆記具、バインダー、生活用品といったカテゴリー別に分けて入札することにより、納入単価を初めとする一括購入のメリットも生まれると考えたのです。こうした運用面の工夫も入れて発注仕様書を作り、NECプレオマート社を含むベンダー3社による入札を実施し、各部署がさまざまな側面から機能等を採点した結果、同社の「プロキュアメントASPサービス」を採用することとなりました。このサービスは、インターネットを介して同社の「商品カタログ」データベースにアクセスするようになっており、発注および商品納入業者側の受注データも記録されます。またNECプレオマート社側はカスタマーサポート体制を敷いてもらい、操作方法や注文の問合せなどにも対応して欲しいとお願いしました。こういうこともASPサービスならではの大きなメリットだと思います。
―ほかにも運用面での工夫やご苦労はあったのですか?
麦倉氏 購入プロセスと結果の透明性を高めたかったので、役所の業務の進め方に即した項目にできるように作り直してもらいました。つまり、各部署がぞれぞれの事業目的に従って消耗品購入の予算を持っているのですから、シャープペンシル1本にしてもその事業目的、事業項目との対応が分かるようにしたかったのです。それと、やはり気になっていた出先機関の対応が出遅れました。インフラの問題もありましたし、普段、業務でPCを使うより紙や電話やファックスですませていたので、画面操作になれていないというスキル不足です。インフラ整備は1~2年で完了させ、スキル面は研修やヘルプデスク対応して、慣れてもらうようにしました。
―システムが稼動してほぼ1年半ですが、どのような効果が生まれていますか?
渡邉氏:今後、購買履歴等、蓄積されたデータを下に財政課により的確な予算配分がなされることにより、一層の間接財(消耗品)における経費の削減が見込めるものと思います。現時点で確実に言えることは、導入プロセスが大幅に短縮されたことです。「何々が欲しい」と起案してから納入されるまでのリードタイムが、従来の用度室の方式ですと平均して一週間はかかっていたのですが、電子化された今は、納入業者側の配送に要する2~3日だけです。また、これは試算レベルですが、従来のように“用度室”による人的な集中購買方式でやった場合の業務コストは月に約430万円を要していました。それをASP方式にすることで約270万円に圧縮できると思われます。文房具等の在庫費用も約20%程度削減されたと見ています。また、入札・単価契約によって購入コスト・購入単価の不均衡も抑えられました。
―システム導入の狙いの一つであった、グリーン調達促進はどうですか?
麦倉氏:電子カタログで、紙やプリンタートナー等のアイテム品目に、リサイクル品などの「グリーン品目」があるかがすぐに分かります。また、部門ごとのグリーン調達比率もわかるので、同じものを買うなら環境にやさしいものをと考えてくれるようになりました。現在、指定品目の7割強までグリーン調達に切り替わりました。
―取引相手である地場の事業者の方々の反応はいかがですか?
吉高神氏:たしかに当初は戸惑いもありましたが、徐々に、このシステムによるメリットを理解していただいて協力してくださるようになりました。印刷物のカタログを更新したり、買い手といちいち交渉したり、受発注や実績のデータを個々に管理する、あるいは請求書を郵送するといった手間や費用が省けます。その結果として業務が効率化し、その分を拡販やCSに振り向けられれば地元企業も元気になるのではないかと考えています。
―では、このシステムを今後、どのように発展させて行くお考えですか?
渡邉氏:まず、使いやすさをさらに向上するように、全ての利用者の要望を聞きながら、運用面の工夫も加えて改善したいと考えています。また、機能としては、対象となる購入物品を消耗品購入だけでなく、他の品物にも拡大して適用できないかと考えています。適正な商品を適正な価格で購入し、適正な在庫管理を実施し、「いつ、どこで、誰が、何を購入したのか」を瞬時に把握することにより、更に適正な予算配分が可能となり、これによって鹿沼市の財政に大きく寄与できるものと考えております。またそのためにムダな労力をかけないように工夫し続けることは、私たちの義務だと考えています。
―最後になりますが、NECプレオマート社への注文・要望等をお聞かせください。
高野氏:民間とは違う業務の流れに合わせていただくように難しい注文をたくさん出したのですが、きちんと対応していただけて感謝しております。また、カスタマーサポートも助かっています。自治体に限らず、これからのシステム化というのは、従来のように「業務をシステム化する」だけではなく、「データ、情報リソースをいかに活用するか」という知恵とサービスが求められているのだと思います。NECプレオマート社のASPサービスもまだ進化すると思いますので、これからもぜひ、パートナーとして協力していただきたいと思います。
―皆様、お忙しいところ、ありがとうございました。
位置と地勢
鹿沼市は、面積が490.62平方キロメートル、首都東京からおよそ100kmの圏内にあり、鹿沼地域は江戸時代、日光に東照宮が造営されたことで、江戸と日光を結ぶ日光西街道、京からの勅使が通った例幣使街道の宿駅“鹿沼宿”として賑わいました。この頃、東照宮にも見られる精緻な彫刻を施した屋台「彫刻屋台」が数多く作られました。その技術は現代に受け継がれ、旧鹿沼市内で毎年10月に行われる「鹿沼ぶっつけ秋祭り」では、20数台の彫刻屋台が市内に繰り出します。1日目に行われる「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」と、旧粟野町で正月3日に行われる行事「発光路強飯式(ほっこうじごうはんしき)」は、ともに国の重要無形民俗文化財に指定されています。
産業と特産品
田園地帯では、豊かな自然に育まれた稲穂が黄金色に輝き、首都圏農業として日本の代表産地となった「イチゴ・ニラ・ハトムギ・さつき」や各種品評会で評価の高い「和牛」などを次々に市場に送り出します。また、「鹿沼土」の産地として、園芸関連の産業を核にした‘緑の産業’も盛んです。早くから木工団地や工業団地の整備を進め、伝統的な木工業の育成、先進技術を駆使する企業誘致に取り組んできました。日光と接する西北部に「前日光県立自然公園」を形成する美しい自然の景観を構える一方、県都宇都宮市と接する南東には東北自動車道鹿沼インターチェンジがあり、物流拠点「かぬま」として重要な役目を果たしています。
人口と世帯(平成19年4月現在)
人口10万3,586人、世帯3万4,472世帯。
市役所のURL
http://www.city.kanuma.tochigi.jp/
渡邉 教生氏
鹿沼市総務部 総部課管財係 主任主事
麦倉 久典氏
鹿沼市総務部 総部課管財係 係長
吉高神 勇氏
鹿沼市総務部 次長
高野 勤氏
鹿沼市企画部 情報管理課情報管理係 係長